カボチャ専門農家 あぼーぼら・いしまき農園の石牧紘汰さん
【移住のきっかけ】
神奈川県横浜市出身の石牧紘汰さん。大学時代は、心理学を専攻していたが、震災後に当時の学校の先生から福島県の農業のボランティアの話を聞き、実際に参加したことが東北の農業との出会いだった。
ボランティア活動を通して、地域と農業のつながりを考えていく方たちの姿に感銘を受け、石牧さん自身もそういった活動をしていきたいと考えるようになったそうだ。
いったんはビジネスマナーを学ぶ為に、一般企業に就職したものの、地域と農業に今後のキャリアを注ぎたいと考え、退職を決意。転職期間中に石巻市で自分に合った活動をしている法人を見つけ就職することになった。そして宮城県石巻市に移住することを決めた。
おじいさんが宮城県内にいたため、宮城県にはルーツがあった石牧さん。昔からおじいちゃんっ子でよく宮城県を訪れており、中学生の頃から地方の自然豊かさと、地域のコミュニティが自分に合っていると感じており、25歳にして念願の田舎暮らしが始まった。
【カボチャと石巻の人に魅了されて】
勤務している法人では就農支援の担当になり新たに農業を始めたい方の支援をしている石牧さん。しかし、実際に農業を始めている方の気持ちが分からず、自分も就農して実際に移住者が就農するということを体感してみようと思い兼業で就農することを決めた。
そんな時、石牧さんが石巻に来てからお世話になっていた方から、かぼちゃ栽培の研修を受けてみたら?と言われたことをきっかけにかぼちゃを栽培することに。
元々かぼちゃをはじめとした野菜が好きで家庭菜園でトマトを作ったことはあったものの、かぼちゃの栽培経験はゼロ。
しかし、あっという間に、かぼちゃの魅力の虜となり、昨年は18種ものかぼちゃを栽培し、今後は50種以上もの栽培も考えているそうだ。
【石巻でのカボチャ栽培】
石巻では天候的にカボチャは年に2回栽培することができる。春に種をまき夏に収穫をするもの、夏に種をまき秋に収穫をするカボチャがある。品種もその時期によって変わってくる。
宮城県ではダークホースという名前の品種が主流だが、石牧さんは様々な変わったおいしいカボチャを栽培しており、イベント出店をするとすぐに売り切れてしまうとのこと。
具体的には加熱すると糸状にほぐれることが特徴のそうめんカボチャや昔からある細長い形状をした宿難(すくな)カボチャなど。スーパーでは見かけないカボチャも育てている。
↑そうめんカボチャの中華炒め
特に冬至の日には産直でのカボチャの売れ行きがすごかったそうだ。
【農園のコンセプト】
農園のキャッチフレーズは「カボチャで繋がる輪」。せっかく農業を始めるからには収益だけには捉われず、農の底力を感じたい。例えば農作業体験に来られた方は住んでいるところや年代関係なく、カボチャ畑を囲んで笑顔で汗をかいて作業しており、石牧さんもカボチャで人脈が広がる楽しさを実感していて、作業体験に来られた方も繋がることに、農やカボチャの力を感じているそうだ。
【これから】
就農する人の気持ちになってみるという思いからカボチャ農家を兼業されている石牧さん。カボチャを栽培してまだ1年しかたっていないのにも関わらず、既にファンが続出しているのも一人一人に寄り添う石牧さんだから何だろうなと取材をしていて感じた。
これまでにはカボチャを購入してくださった方が少し多いからと言ってカットしてお知り合いに渡し、渡された方がそのカボチャを気に入って直接購入してくれることも多かったそうで、着々とカボチャを通して人のつながりができてきている。