よむ月替わり通信 2025.12

よむ月替わり通信 2025.12

とうほくやさい便の定期便には毎月ニュースレター「月替わり通信」を同封しています。野菜の魅力をいろいろな角度からお伝えしながら、その月にお届けする野菜を使ったレシピも掲載しています。


野菜を
少し違った目で見る
面白さ

月替わり通信 2025.12

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にんじんやキャベツを食べて甘みを感じる時、ふと野菜の中に糖が見出されると思うのですが、そんな甘みの源流ともいえるのが光合成の働き。植物が太陽の光を浴びているところは、日向ぼっこをしているようでほのぼのとした印象も受けますが、彼らが静かに行なっている光合成はこんなにも難易度の高い仕事。

また、光合成はどのような視点から見るかによって答えが違ってくるという面白い側面もあるようなので、この度は野菜をはじめ植物の立場から探ってみましょう!

「葉っぱが努力していること」の視点から見る光合成

光合成の資源1
Content 1

一見止まっているように見える植物
その葉が「速く」動く時

よーし電気が来た。今日も生産開始だ!と言わんばかりに葉は光に向かいます。獲得した光のエネルギーの大部分は光合成に使い、生活を維持していくためのものになるので、光は葉にとってのお金みたいなものかもしれません。光がやってくる方向、その量、波長などを見極めながら動くこの時は、植物のスピードの中ではなかなか速い動きです。

光合成の資源2
Content 2

冬のほうれん草は寒さから身を守るため糖と水を器用に使う

植物が光合成の原料として水を選択しているのは、葉っぱで作られた「糖」は個体のままでは動けないからかもしれません。水は光合成で分解される水素(還元力)の提供だけで終わらず、保存可能になった糖を体内の別の水分に積載し葉から茎や実へと輸送する重要な役目も担っています。
冬のほうれん草は厚みがあって美味しいといわれますが極寒の中、凍らないようにするためにほうれん草は体内の糖度を上げます。茎の中に水が流れていたら凍ってしまいますが高濃度の水溶液が流れているので凍りません!

光合成の資源3 CO₂
Content 3

気孔の開閉に見る静かなジャッジ
CO₂ がいくらでも欲しいわけじゃない

ご存知のように光合成は、気体と光のエネルギーをつなぎ合わせて糖に変えること。葉のウラにある気孔は光に応答して開き、CO₂と水の出入りを制御します。


門番(気孔)のジレンマ

気孔を開けないとCO₂ が取り込めずエネルギーを作れない。しかし開けると体の水分が出ていってしまう。適度に開けて葉温の調整もしたい。でもしおれると栄養を運べない。などと気孔はその開閉に伴って、命の次に大事な水分を守るか、光合成を促進させるかというバランスを常に計算しているかもしれません。


表皮はバリア機能で保湿をサポート

気孔にとってはありがたい機能。葉の表皮はただでさえ防水性のコーティングとなって水分の蒸発を防いでいるけれど、特に真夏に育つキュウリなどの野菜の葉には表皮に加え、毛というバリアーも設けられて乾燥で水分が奪われるのを強力に防いでいます。


もっとおいしい野菜ができるかもしれない

環境の変化に応じて素早く開閉を繰り返す葉の気孔のメカニズムは、研究の進展によって徐々に農業応用への展開が期待されています。気孔の開閉をコントロールできれば、植物にとって最大の課題である水分の節約と成長のバランスを人間が手助けできるようになるからです。
少ない水でも乾燥を防ぎながら栽培することが可能になると、気候変動による干ばつに対応できます。反対に気孔が大きく開き光合成速度が上昇すると、可食部に転流される糖の総量が増加し生産量も確保しやすくなります。
そして何より、光合成が活発になることは、大気中の二酸化炭素を削減し、同時に酸素を送り出すことになるので、カーボンニュートラル社会の実現に寄与する技術として、その展開が強く期待されており、今後ますますその重要性が高まっていくでしょう。

参考書籍

ファーブル博物記⑤ 植物のはなし 植物は<知性>をもっている ステファノ・マンクーゾ 光合成とは何か 講談社 ブルーバックス 元素図鑑 エイドリアン・ディングル

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